日本流収益不動産市場を創設せよ

【日本流収益不動産市場を創設せよ】日本では、居住用の不動産については持ち家政策として手厚く優遇されてきた一方で、収益を上げることを目的とする収益不動産市場は、伝統的に不在のままでした。これだけ不動産神話が栄えた国にもかかわらず、おそらく先進国では唯一と思われるほど収益不動産市場が未熟なのは、なぜなのでしょうか。理由は次の四つです。(一)日本は、伝統的に銀行借り入れによる間接金融に頼ってきましたが、その弊害で資本市場から直接資金を集める直接金融の割合が低く、結果的に収益不動産市場に欠かせない証券化手法の導入が遅れたのです。(二)地価が右肩上がりで上昇を続けた時代には、マイホームを持つことがすなわち資産形成になったので、あえて収益不動産にこだわる必要はありませんでした。現実に、八○年代後半の不動産バブルまでは、住宅地価の上昇率の方が商業地よりも常に大きい時代が続きました。(三)日本人は不動産に対する独占欲が強く、完全所有権を好むので、不動産の一部を持ったり、他人と共有したりする共同投資の考え方が浸透しませんでした。(四)土地神話の影響で、不動産は売らずにずっと持ち続ける方が得だという考え方が長く続いたのです。考えてみれば、これだけ商業不動産が豊富にあるなかで、投資家がその器づくりに参加することなく、ほとんどすべてが自己所有による自己使用に限られている市場はきわめて稀です。

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